ISO 10218:2011と2025年版|産業用ロボットの安全で確認する版年
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
ISO 10218を調べるときは、「ISO 10218」という規格番号だけで資料を読み進めず、部と版年を必ず確認します。日本の産業用ロボットに関する施行通達が名指しして参照するのはISO 10218-1:2011とISO 10218-2:2011です。一方、ISO 10218-1:2025とISO 10218-2:2025が発行された事実もあり、二つを同じ版として扱わないことが重要です。

ISO 10218の版年を区別する理由
規格番号が同じでも、版年が異なれば、同じ資料として扱えません。設計資料、通達、規格紹介、設備の記録にISO 10218の記載がある場合は、第1部か第2部か、2011年版か2025年版か、どの目的で参照されているかを確認します。版年の抜けた引用は、前提を曖昧にします。
版年と通達の関係
厚生労働省の施行通達「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」基発1224第2号は、2013-12-24に発出されました。同通達が名指しするのは、ISO 10218-1:2011とISO 10218-2:2011です。厚生労働省のリーフレット「産業用ロボットと人との協働作業が可能となる安全基準を明確化しました。」(2013年12月、確認日: 2026-09-05)でも、この通達に関する説明を確認できます。
ISO 10218-1:2011は第1部のロボット、ISO 10218-2:2011は第2部のロボットシステム及びインテグレーションとして示されています。通達の説明を読むときは、二つの部を一つの略称にまとめず、どちらが資料で参照されているかを確認します。資料の対象が設備本体か、システムやインテグレーションに関するものかも分けます。
2026-09-05時点で、通達が2025年版を参照する形に改正されたことは確認できていません。したがって、2025年版が発行されていることから、通達が求める版年も自動的に変わったと書くことはできません。通達と規格発行の情報は別の資料として管理します。
確認資料の早見表
| 資料の種類 | 確認する表記 | 読み分ける理由 |
|---|---|---|
| 施行通達 | 発出日、通達番号、参照する版年 | 日本の通達がどの版を名指しするか確認するため |
| 規格に関する資料 | 第1部・第2部、版年、発行情報 | 同じ規格番号でも資料の対象を分けるため |
| 設備の仕様書 | 引用した規格名・版、対象設備 | 他の設備や別版へ流用しないため |
| 変更・引継ぎ記録 | 文書名、版、確認日、担当 | どの前提で確認したかを残すため |
表は、規格の要求事項を要約したものではありません。版年を確かめる資料と、設備の適合を確認する資料は目的が違います。規格番号と年を照合した後に、設備資料の対象と作成者を確認します。
厚生労働省の公開資料(確認日: 2026-09-05)は、ISO 10218-1:2011とISO 10218-2:2011に対応するJISとしてJIS B 8433-1:2015とJIS B 8433-2:2015を示しています。ただし、JISの現行の制定・改正年は本記事の根拠として確認していません。資料にある対応関係から、最新版や個別の適用を推測しません。

2011年版と2025年版を確認する順番
版年を確認する順番は、最新に見える資料を優先するためではありません。どの資料が何を根拠にしているかを取り違えないための手順です。通達、規格の発行情報、設備資料を別に確認すると、異なる目的の文書を同じ結論の根拠にすることを避けられます。
通達が示す版年を確認する
安全に関する法令上の説明が必要な場合は、先に通達の表題、通達番号、発出日、参照される規格の部と版年を確認します。基発1224第2号(2013-12-24)は、2011年版を名指ししています。通達の対象や前提を、規格の版年だけで書き換えません。
施行通達に関するリーフレットを読む場合も、発行時点の説明と現在の規格発行情報を分けます。2013年の資料にある表現を、2025年版に関する説明として使うことはできません。資料の発行日と確認日を併記すると、時間的な位置を取り違えにくくなります。
通達が対象とする措置や、設備ごとの適用は、個別の資料と条件を確認して扱う事項です。この記事は通達が参照する版年を整理するもので、特定の設備が通達の条件を満たすかを判断しません。必要な確認は、責任を持つ担当者が原典と設備資料で行います。
規格の発行情報を確認する
ISO 10218-1:2025とISO 10218-2:2025が発行され、2011年版を取り消し置換したとされることは、規格側の発行情報として確認できます。これは、通達が参照する版年を2025年版へ置き換える根拠ではありません。規格の発行と、日本の通達の参照関係を別々の表にします。
規格原文は有料であり、本記事では要求内容、数値、改訂差分を確認していません。そのため、2011年版と2025年版の具体的な違いや、どちらがどの設備に適切かを述べません。規格の版に関する資料を読む人は、正しい原典と設備の仕様書を参照します。
資料を引き継ぐ際は、「ISO 10218」とだけ書かず、部、版年、資料名、確認日、対象設備を残します。この書き方なら、後から別の版の資料に触れたときも、何が同じで何が違うかを確認する起点になります。

記事でしない説明
規格名と版年を整理することは、設備の安全を簡単な表で結論付けることではありません。要求事項、設計上の条件、適合の判断には、正しい版の規格原典と個別の設備情報が必要です。記事の説明が原典を読む作業の代わりに見えないよう、説明の境界を明確にします。
要求事項の差分を断定しない
ISO 10218-1:2011、ISO 10218-2:2011、ISO 10218-1:2025、ISO 10218-2:2025の規格原文の要求内容は、本記事の根拠として確認していません。数値、速度、力、距離、設計条件などの具体的な差分を、公開された紹介情報から断定しません。規格原文に基づく確認が必要です。
二つの版の名称を知ることは、資料を探す入口になります。仕様書や技術ファイルに版年が記載されていない場合は、推測で補わず、作成者や管理者へ確認します。別の設備で使われた資料を、対象が違う設備の根拠へ流用しないことも大切です。
差分を説明できないことは、情報不足を隠すことではありません。確認できた事実と、原典確認が必要な事項を分けることで、読み手が追加の確認へ進めます。資料の出どころを明らかにすることが、版管理の基本になります。
2025年版で通達を満たすと書かない
2025年版の発行情報と、2013-12-24の基発1224第2号が2011年版を参照する事実は、別に確認する必要があります。2025年版に適合すれば通達の要件を満たすと書くことはできません。通達が2025年版を参照する形に改正されたことは、2026-09-05時点で確認できていません。
法令や通達に関する判断は、設備の状態、適用対象、実際の資料を踏まえて行います。規格の名称や年だけから、必要な措置の有無を決めることはできません。記事は版年の確認の観点を示す範囲です。
業務で確認する際は、通達番号と日付、規格の部と版年、設備資料の版、確認者を分けて記録します。前提が変わったときに、どの資料を見直すべきかが分かるためです。

版年を記す習慣は、規格の新旧を評価するためだけのものではありません。資料を受け取った人が、どの時点のどの部に関する説明かを確認できるようにするためです。規格番号だけが書かれた資料を見た場合は、版年が不明であることを記録し、作成者又は管理者へ確認する項目として扱います。
施行通達、規格発行情報、設備の仕様書を同じフォルダで扱う場合も、資料ごとに発行者、日付、目的、対象を分けます。通達が2011年版を参照するという事実と、規格側で2025年版が発行されたという事実は、どちらも重要ですが、同じ文書の更新履歴ではありません。対応関係を確認せずに、片方の事実で片方の内容を書き換えません。
引継ぎや変更時の記録には、ISO 10218-1又はISO 10218-2のどちらか、版年、参照した資料名、対象設備、確認者を残します。資料が複数あるときは、各資料が何を示すかを整理してから確認します。記事で得た版管理の知識を、設備の適合判断へ直接変換しないことが重要です。
ISO 10218に関する資料を整理する表には、規格番号だけでなく、第1部又は第2部、版年、資料の発行日、資料の目的を記します。これらが分かれていれば、通達の参照関係と規格発行情報を混ぜずに確認できます。版年が欠けている資料は、確認が必要なものとして扱います。
設備の設計・保全に関わる人は、規格の名称を見たときに、どの設備を対象にした資料かも確認します。別の設備で作られた資料、別の時点の資料、別の部に関する資料を、同じ根拠として流用しません。確認した事実と追加で確認すべき事項を分けます。
規格に関する説明を職務経験へ結び付ける場合も、規格原文を確認したのか、仕様書を参照したのか、資料を引き継いだのかを区別します。版年の管理は、知識を示すためだけでなく、担当した確認の範囲を正確に伝えるためにも役立ちます。
版年に関する説明を共有する際には、2011年版を参照する通達の情報と、2025年版の発行情報を二つの事実として記録します。規格の名称が同じでも、資料の目的と時点は異なります。通達が2025年版を参照する形へ改正されたと確認できない限り、2011年版の記載を置き換えません。
設備の資料を読む人は、規格番号、部、版年が欠けている場合に、資料の作成者又は管理者へ確認します。別の版の情報を補って記入するのではなく、確認できた事実と確認が必要な事項を分けます。こうした版管理は、個別設備の適合を記事だけで判断しないための基本でもあります。

まとめ
ISO 10218を確認する際は、第1部・第2部と版年を分け、日本の施行通達が参照するISO 10218-1:2011・ISO 10218-2:2011と、2025年版の発行情報を同じ根拠として扱わないことが重要です。資料名、版、日付、確認日、対象設備を一組で記録します。
産業用ロボットの安全と法令、産業用ロボットのティーチングとは、FA・ロボットエンジニアのキャリアパス、産業用ロボットの安全柵の条件も参照できます。個別の規格確認は原典と設備資料に基づいて進めます。
ISO 10218の版年に関する記事は法令カテゴリで確認できます。
よくある質問
- Q. 2025年版だけを見ればよいですか
- 通達に関する確認では、基発1224第2号が参照するISO 10218-1:2011とISO 10218-2:2011を分けて確認します。2025年版の発行情報だけで通達の参照関係を置き換えることはできません。
- Q. 版年が違うと何を確認しますか
- 規格の部、版年、資料の発行情報、通達の表題・番号・日付、対象設備の仕様書を確認します。要求内容や適合の可否は、正しい原典と設備情報に基づいて確認します。
- Q. 記事で適合判断できますか
- できません。本記事は通達が参照する版年と規格の発行情報を整理するものであり、規格要求、改訂差分、個別設備の適合を判断する資料ではありません。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.厚生労働省「産業用ロボットと人との協働作業が可能となる安全基準を明確化しました。」(mhlw.go.jp)
- 2.厚生労働省 公開資料(産業用ロボットに係る安全対策及び技術基準の検討会資料)(mhlw.go.jp)