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産業用ロボットのティーチングとは|作業内容・特別教育・働き方の基本

著者・監修: 依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

産業用ロボットのティーチングとは|作業内容・特別教育・働き方の基本

産業用ロボットのティーチングは、可動範囲内で動作の順序・位置・速度を設定、変更、確認する教示等を含む仕事であり、作業内容に応じて特別教育と安全上の措置を確認します。操作端末を使う時間だけでなく、前後の動作を理解し、機械、治具、センサー、作業者の位置を照らして動きを整えることが仕事の中心です。

ティーチングは、現地でロボットを動かす役割として語られがちですが、構想や設計から渡された条件を実機で確認し、次の工程へつなぐ役割でもあります。ここでは、法令上の教示等と日常的な呼び方の関係、教育、安全確認、工程内での役割を分けて整理します。

ロボットティーチングの仕事を理解する

ロボットティーチングは、製品や治具に合わせて動作を設定し、予定どおりの順序と位置で動くかを確認する仕事です。作業の目的と安全上の条件を理解したうえで、実機の動きと周辺設備の状態をつなげます。

ティーチングペンダントでロボットの動作を確認する担当者の図
ティーチングペンダントでロボットの動作を確認する担当者の図

ティーチングと教示等の関係

ティーチングという言葉は、ロボットの動きを教え込む作業を広く指すときに使われます。法令上の教示等は、労働安全衛生規則第36条第31号で、可動範囲内におけるマニプレータの動作の順序、位置、速度の設定、変更、確認として示されています。日常的な作業名と根拠条文を同じものとして扱うのではなく、実際にどこで何をするかを確認します。

根拠条文は、労働安全衛生法第59条第3項、労働安全衛生規則第36条第31号、第150条の3、第151条、安全衛生特別教育規程第18条です。労働安全衛生法の最終改正は2025年5月14日公布・2026年4月1日施行、労働安全衛生規則の最終改正は2026年4月28日公布・同年8月1日施行で、確認日は2026年9月5日です。名称だけで対象を決めず、可動範囲、駆動源、共同作業者の有無を順に確認します。

可動範囲内で行う設定・変更・確認

可動範囲とは、記憶装置の情報に基づいてマニプレータその他の産業用ロボットの各部が動くことのできる最大の範囲です。この範囲内で、教示等のために順序、位置、速度を設定、変更、確認する作業が、労働安全衛生規則第36条第31号の整理につながります。駆動源を遮断して行うものは、同号の教示等から除かれます。条件の違いを操作の前に確認することが大切です。

可動範囲外でも、内側で教示等を行う人と共同して関連機器を操作する場合があります。その場合も、作業者どうしの合図、操作する機器、異常時の停止方法を共有します。設定変更後に動く範囲が変わるなら、プログラムの画面だけで確かめず、周辺の安全柵、光線式安全装置、コンベア、治具との関係を実機で確認します。可動範囲を図面と現場の両方で読む習慣が、作業の前提をそろえます。

設定内容を確認する順番も、仕事の質に関わります。最初に大きな動きと停止位置を見てから、周辺装置との受け渡しや細かな位置を確認すると、どの変更がどこへ影響したかを追いやすくなります。担当者が一人で操作しているように見える場面でも、前工程が決めた条件と次工程が必要とする情報を意識し、確認した結果を共有することで、作業が次の判断につながります。

教示等と特別教育を結び付ける

教示等に関わる教育は、個人が取得する免許ではなく、対象業務に就かせる事業者が行う特別の教育です。作業の条件と教育の対象を結び付けて確認すると、必要な準備と現場での役割を誤りにくくなります。

教示等の作業条件と特別教育を結び付けた図
教示等の作業条件と特別教育を結び付けた図
確認する場面教示等として見る条件作業前にそろえること
動作を設定する可動範囲内で順序・位置・速度を扱う作業内容、操作方法、合図
動きを変更する駆動源を遮断していない停止方法、再起動時の措置
動作を確認する共同する人がいる場合も含めて確認する役割分担、表示、周辺設備の状態

特別教育が対象となる作業

労働安全衛生法第59条第3項は、危険又は有害な業務で省令が定めるものに労働者を就かせるとき、事業者が特別の教育を行うことを定めています。産業用ロボットの教示等は、労働安全衛生規則第36条第31号で対象業務として示されています。これは免許や技能講習ではなく、作業に就く前に事業者が行う教育です。

教育の対象は、単にティーチングペンダントを持つ人だけでは決まりません。可動範囲内で教示等を行う人と共同して、範囲外で当該教示等に係る機器を操作する業務も対象に含まれます。一方で、駆動源を遮断して行う作業は同号の教示等から除かれます。作業を頼まれた時点で、機械の状態と担当する操作を具体化し、教育の担当者と確認します。

教示等の特別教育で学ぶ内容と時間

安全衛生特別教育規程第18条は、教示等の業務について、産業用ロボットに関する知識、教示等の作業に関する知識、関係法令を学科科目として示しています。実技では、産業用ロボットの操作方法と教示等の作業方法を扱います。産業用ロボットに関するこの規定は1984年4月1日から適用されています。

時間は、学科7時間以上・実技3時間以上(合計10時間以上)です。時間数だけで準備が終わるわけではなく、担当する設備の作業規程、停止操作、異常時の連絡、再起動の方法を現場の条件に沿って確認します。安全衛生特別教育規程第18条、労働安全衛生規則第36条第31号、労働安全衛生法第59条第3項は、2026年9月5日に確認しています。

実機で確認した内容を記録に残すことも、次の作業の安全確認に役立ちます。

SIer工程で見るティーチングの役割

ティーチングは、設計で決めた動きを実機で確かめ、製作、デバッグ、据付、立上げをつなぐ工程に位置します。担当者が前後の工程から何を受け取り、何を確認して渡すかを理解すると、設定作業の意味を説明しやすくなります。

ロボットSIerの工程でティーチングがつなぐ役割を示す図
ロボットSIerの工程でティーチングがつなぐ役割を示す図

構想・設計からデバッグへつながる準備

構想や設計の段階では、装置が担う作業、動作順、ワークの置き方、周辺装置との信号のやり取りが整理されます。ティーチング担当者は、動作の意図を受け取り、実機で位置や順序を確認できる状態へ準備します。作業前に、機械図面、電気図面、入出力一覧、操作画面の条件を照らすと、設定する内容と確認する内容を分けやすくなります。

デバッグでは、予定どおりに動かないとき、ロボットの設定だけを変えるのではなく、信号、治具、ワーク、周辺装置、操作手順を順に確認します。動作を小さな単位へ分け、どの条件で開始し、どの信号で次へ進み、どこで停止したかを共有します。PLC・シーケンス制御の担当範囲は、PLC・シーケンス制御エンジニアの仕事で工程に沿って整理しています。

据付・立上げで他職種と連携する場面

据付と立上げの現場では、設計時に想定した位置関係と、実際の床、搬送設備、作業者の動線が異なることがあります。ティーチングでは、動作の位置や順序を確認すると同時に、周辺設備との干渉や、作業者が近づく場面を確認します。変更が必要なら、機械、電気、制御の担当者と、どの資料と設定に影響するかを共有して進めます。

現地での調整内容は、次の確認や保守に引き継げる形で残します。変更した位置、動作条件、試験した順番、異常時の状態を記録すると、後から同じ現象を確認する際に意図を追いやすくなります。可動範囲内での作業があるときは、教育と措置の整理を先に行い、産業用ロボットの安全と法令で示す作業別の確認点も照らします。

働き方と学び方を考える視点

ティーチングの経験は、ロボットを動かす操作だけではなく、前後の工程と安全確認を理解する経験になります。今の作業で何を設定し、何を確認し、誰へ結果を渡しているかを振り返ると、次に深める学びが見えます。

作業規程・停止措置・作業中表示を作業前に確認する図
作業規程・停止措置・作業中表示を作業前に確認する図

安全上の確認を作業の前に行う

作業を始める前には、予定する操作が可動範囲内か、駆動源を遮断しているか、共同する人がいるかを確認します。労働安全衛生規則第150条の3は、可動範囲内で行う教示等について、作業規程、異常時に直ちに運転を停止できる措置、作業中である旨の表示等を定めています。駆動源を遮断して行う場合には、同条の作業規程と停止措置は適用されませんが、現場の危険を見ないでよい意味ではありません。

労働安全衛生規則第151条は、教示等の開始前に、外部電線の被覆や外装の損傷、マニプレータの作動、制動装置と非常停止装置の機能を点検するよう定めています。設定作業を急ぐほど、点検や停止方法の確認を後回しにしないことが重要です。労働安全衛生規則第150条の3、第151条は2026年8月1日施行の改正まで反映した内容を2026年9月5日に確認しています。

安全確認を習慣にするには、作業開始前の確認項目を、実際の作業順と結び付けます。誰が操作をするか、誰が可動範囲に入るか、どの合図で始めるか、異常時にどこで止めるかを、作業に関わる人どうしでそろえます。設備やプログラムを変更したときは、以前の手順をそのまま使えると考えず、変更後の動きに合わせて点検と表示、合図の方法を見直します。

経験を次の工程へつなげる見方

ティーチング経験を次へつなげるには、担当した機種名だけでなく、どの条件を読み、どの動作を調整し、どの確認を記録したかを言葉にします。例えば、動作順を調整した経験は制御設計の条件整理へ、周辺設備との干渉を確認した経験は機械設計との連携へ、現地での試験記録は立上げや保守の仕事へつながります。経験を工程と成果物に分けると、次に広げる対象を選びやすくなります。

学ぶ順序も、特定のソフトの操作だけで決めません。既存の図面、入出力一覧、プログラム、作業規程を読めるようにし、設定の変更がどこへ影響するかを説明できるようにします。安全と品質の確認を作業の一部として扱うと、工程をまたいで関わる際にも、単なる操作担当ではなく、条件を共有できる人として役割を広げられます。

設定内容と安全確認を次の工程へ引き継ぐ図
設定内容と安全確認を次の工程へ引き継ぐ図

よくある質問

ティーチングは、どのような作業を指しますか?

可動範囲内で行うマニプレータの動作の順序、位置、速度の設定、変更、確認を含む作業です。労働安全衛生規則第36条第31号は、この業務を教示等として示し、駆動源を遮断して行うものを除いています。労働安全衛生規則は2026年8月1日施行の改正まで反映した内容を2026年9月5日に確認しています。

ティーチングに必要なのは免許ですか?

教示等は免許や技能講習ではなく、労働安全衛生法第59条第3項に基づいて事業者が行う特別の教育です。対象業務は労働安全衛生規則第36条第31号で確認し、教育の科目と時間は安全衛生特別教育規程第18条で確認します。これらの資料は2026年9月5日に確認しています。

駆動源を遮断して行う作業も教示等の対象ですか?

労働安全衛生規則第36条第31号では、駆動源を遮断して行うものは教示等から除かれます。作業名だけで判断せず、可動範囲、駆動源の状態、作業者の役割を確認します。労働安全衛生規則は2026年8月1日施行の改正まで反映した内容を2026年9月5日に確認しています。

特別教育はどのくらいの時間ですか?

教示等の業務は、学科7時間以上・実技3時間以上(合計10時間以上)です。安全衛生特別教育規程第18条が科目と時間を定めており、労働安全衛生規則第36条第31号と合わせて確認します。安全衛生特別教育規程と労働安全衛生規則は2026年9月5日に確認しています。

まとめ

ロボットティーチングは、可動範囲内で動作を設定、変更、確認する教示等を含み、設計からデバッグ、据付、立上げをつなぐ仕事です。教育の対象や安全上の措置は、職種名ではなく、可動範囲、駆動源、運転状態、共同作業の条件で確認します。担当した作業を工程と成果物に分けて振り返ると、制御設計、現地調整、保守へ経験を広げる視点が得られます。

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依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。FA・ロボット領域のスキル体系・工程別の役割・安全と法令について、公的統計・公的名簿・法令条文・各社公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。

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